パネライ サブマーシブル ブロンゾ ブルー アビッソを実機レビュー カルト的ツールウォッチが少し小さくなって登場。

2011年に発売されたパネライのサブマーシブル ブロンゾ PAM 382は、世界初のブロンズウォッチではなかった。過去にはジェラルド・ジェンタ「ジェフィカ サファリ」をはじめ、他のブランドも手掛けていた。しかし、発表された瞬間から、そのネーミングのおかげもあってか、ブロンゾは最も有名なブロンズウォッチとなった。

 パネライにとって、クラシックな海洋装備と同義語の素材を使って時計を作ることは至極当然なことのように思えた。たとえSIHHの厳粛なホールでは、意図的に変色させた時計が疑問視されるとしても。

 安定性を念頭に合金を使った時計を発表したメーカーを考えてみよう。パネライ自体には、時を経ても変化しないローズゴールドの合金「ゴールドテック」がある。ブロンゾはその対極にある。長く身に着けるほどに経年変化していく。買う人はそれを望んでいる。しかし、小売店では、試着した購買者はピカピカの新品を持ち帰るのを望む。その時計が生み出す全てのパティーナは、持ち主だけのものでなければならないのだ。これは売り場にとってのハードルになると思ってしまうが、ブロンゾはかなり限定されたモデルであり、多くのエンドユーザーに早々に売れてしまっただろう。かつてのブロンゾたちは今どうなっているのだろう?

 1000本限定の初代ブロンゾは、2010年代初頭のラインナップの中で最も人気のあるモデルの一つとなった。それはパネライのサブマーシブルに期待されるような、直径47mmの巨大なモデルだった。そのオリジナルブロンゾのリリースから2019年までの間に、パネライは4つのバージョンを発売し、その中にはユニークなPAM 907も含まれていた。それらのモデル共通していたのは、47mmという特徴的なサイズだった。

 HODINKEE記事でも紹介しているが、この新しいブロンゾは少し小さくなっていて、正確には直径42mm、全体の厚さは14.37mとなった。決して小さい時計ではないが(パネライの時計について話しているわけなので)、42mmには多くの人が慣れ親しんできたブロンゾとは違った着用感がある。パネライ愛好家がサイズダウンを嘆くのは当然として、47mmの大きさを敬遠していた多くの一般消費者が、ブロンゾにチャンスを与えることになるのではないか。そして、オリスを含む様々なメーカーの小型ブロンズウォッチが成功したことを考えると、パネライも同様にやらない手はないだろう。

 オリジナルから10年の時を経て、サブマーシブル ブロンゾが年間1000本限定のブロンゾ ブルー アビッソとして復活した。このモデルは、ロイヤルブルーと呼ぶにふさわしいソフトマットトーンのブルー文字盤が特徴だ。ストラップはカラーコーデの観点からも優れたブルーのスエードを採用しているが、これを水に濡らしたくはないだろう(その代わりに、できるパネライが用意したブルーのラバーストラップに交換することができる)。

 2019年に発売された最新のブロンゾでは、その年のサブマーシブルコレクションの一般的なデザインの方向性に合わせて、セラミックインサート付きベゼルが採用されていたことを思い出す人もいるだろう。セラミックを採用したことでサブマーシブルは、セラミックインサートを採用した他のダイバーズウォッチと肩を並べることができた。2021年の新作では、オリジナルのブロンズベゼルが輝かしく復活し、ブロンズ一色の外観になっている。この時計は新品だが、もしあなたが海の近くや癒しのあるのどかな場所に住んでいたりするなら、パティーナによって時計がまた別のキャラクターに変貌するのを目にできるだろう。

 ブロンズウォッチは、その人のライフスタイルや場所によって様々な変化をすると言われているが、一般的にはケースの色が濃くなったり、そのまま放置すれば緑青が溜まったりすることが多いようだ。「パティーナのあるブロンゾ」や「パティーナのあるブロンズウォッチ」でググってみると、様々な状態に変化することが分かると思う。

 外側の腐食層は、素材が外側から腐食する兆候だと思われるかもしれないが、実際は少し違う。ブロンズが腐食しても、それはあくまでも表層であって、その下にあるものをさらなる腐食から守っているのだ。ブロンズが船舶用として長い歴史をもっているのはこのためだ。

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